2025年3月21日に堀川御池ギャラリーにてカルチャープレナー交流会を開催しました。
主催は京都市。様々な得意技をもつ人たちと一緒に株式会社よい根が企画・運営をお手伝いしています。
カルチャープレナーとは、英語の「Cultural Entrepreneurs」を元にした造語で、文化やクリエイティブ領域の活動で新しいビジネスを展開し、豊かな世界を実現しようとする文化起業家のことを指す京都から発信している新しい概念です。京都が「カルチャープレナーの聖地」としての認知を得るため、カルチャープレナーをはじめとする創造的な人々が交流、集積するコミュニティの創出を目指し、この交流会が企画されました。
既にこれまで京都市では2023年から三井住友信託銀行等のご支援のもと、世界的なビジネス誌「Forbes JAPAN」で特集され、2年間にわたり全国のカルチャープレナー各年30名が選出されています。今回の交流会では、Forbes JAPANで選出されたカルチャープレナーの中から京都で活躍する13名と、その13人が推薦したいカルチャープレナー15名を対話の核にしながらダイアログを開催しました。伝統工芸の新たな領域にプロダクトを展開する職人や文化の担い手を様々な事業でプロモーションする文化起業家。11軒の銭湯の再建する銭湯活動家や哲学者など、カルチャープレナーの解釈を広げる場となりました。
来場した支援機関や教育関係者、企業、行政など見学者も合わせると会場には総勢89名が参加され、文化起業家への高い関心を感じました。
交流会のテーマは「どうすればカルチャープレナーはもっと活躍できるか」です。
カルチャープレナーの基準や感度の高さを競ったり選定するのではなく、多様な解釈やアプローチを歓迎し合うことを大事にし場を設計しました。その意図をクリエイターの方々が汲み取ってくれ、見せたい1品のディスプレイコーナーや、おすすめしたいカルチャープレナーを投函するポストの設置などの空間演出を行いました。
ダイアログの前に簡単なトークセッションを行い、カルチャープレナーが対面する社会環境について視点を深めていきます。その後のダイアログテーマは、参加者の事前のアンケートから関心のあったテーマを中心に「カルチャープレナー訪問」、「教育」、「大企業とのコラボ」、「企業人向け体験コンテンツ」、「資金支援」、「人材」、「10年後にカルチャープレナーがどうあったらいいか」の7つ。50分間のセッションはどのグループも終始盛り上がり、時には笑い声も聞こえ、熱量の高い対話の時間になりました。
ダイアログや終わってからの懇親会で感じたことは、 やはりカルチュアプレナーならではの時間軸があるということです。よく耳にする「今だけ、自分だけ、お金だけ」というビジネスや京都を消費するような事業ではなく、文化を育む側面をもち、代々紡いできた家業の歴史の一躍を担うことや、1000年続けてきた営みをどう進化、継承していくかといった「時間軸」がカルチャープレナーには存在します。交流会ではその生き方のかっこよさを感じることができました。
カルチャープレナーという職業や生き方は、文化資本や自然資本、そして人間関係資本を育み「文化と経済の好循環」を生み出す時代の潮流の一つです。一般のビジネスよりも難易度が高いけれど、今後、多くの共感や支援が集まるように思います。若者にも選択肢の一つとして知ってもらいたいし、経済規模だけではなく「社会的インパクト」という視点をもつという、投資家や消費者、生活者の在り方が問われているように思います。
カルチャープレナーの商品やサービスに囲まれた生活は暮らしの満足感を上げてくれます。私自身も時間軸を大切にしながら、今後もカルチャープレナーの方々に注目していきたいと思います。
*当日参加されたカルチャープレナーの方々